医療翻訳に使用している資料

「メディカル翻訳におすすめの辞書は?」に現役翻訳者が答える

メディカル翻訳をするにはどんな辞書を持っているといいですか?と聞かれたことがあります。持っている辞書の一部と使用頻度そしておすすめ度を紹介します。

私の持っているメディカル関連辞書

辞書名 お勧め度
(5段階)
使用頻度 注意点
英辞郎 on the WEB ★★★★ 多い 英辞郎は残念ながら誤訳が結構あります。そのままの訳語を鵜呑みにしてはいけませんが、非常に幅広い単語が網羅されており、役に立ちます。有料版(年間3600円)をおすすめします。学会用語集などで必ず裏をとって訳語を確定してください。
Weblio ★★★ たまに 英辞郎で訳語が見つからなかったときに使用します。英辞郎と同じく訳語を鵜呑みにしてはいけませんが、英辞郎ではたまに障害が発生し1日使えなくなることもあるので、そうしたときに使用できます。学会用語集などで必ず裏をとって訳語を確定してください。
学会用語集 ★★★★★ 多い 各学会が定義した訳語が載っています。ただし、ときたまこれは本当にあっているのか?と思うものもありますが、学会お墨付きなので積極的に使用するとよいでしょう。ページにまとめてあります
25万語医学用語大辞
(CD-ROM)
★★★★ 多い 25万語ほどの医学用語がまとめてあります。この辞書はオススメできますが、訳語については裏をとるために学会用語集などでも2重チェックしてから使用してください。
ステッドマン医学大辞典
(CD-ROM)
ほぼ使わない 「使わないんですか?」とびっくりされるかもしれませんが、用語自体があまり載っていません。知り合いの医師からも「ステッドマンは何も載ってない!」と言われたことがあります(笑)。でもCDーROM版を一応持っています。王道の辞書と思われるかもしれませんが、私からはそこまでオススメしません。最近ではWeb版もありますが、そちらは個人ではなく企業向けで値段が高すぎるので個人はCD-ROM版がおすすめです。
プロメディカ
(CD-ROM)
ほぼ使わない ステッドマンよりは役に立った覚えがありますが、こちらもほぼ使いません。検索する用語があまり載っていないというのが理由です。
南山堂医学大辞典
(電子辞書)
★★★ たまに 南山堂医学大辞典はたまに活躍してくれます。持っててよかったと思う辞書です。

CD-ROMの辞書だとどうしても時代についていけないのと、新しい用語や概念は当たり前ですが載っていません。そうした場合は、インターネットで論文や関連文書を検索して訳語を見つけるのがおすすめです。学会も定義していないような新しい用語(結構多いです)については英語のみの表記又は英語と仮訳を併記をするなどして対応するとよいでしょう。その際は「定訳がないのでこのように翻訳しました」とコメントをつけておくとよいでしょう。

 

私自身は臨床論文を訳すことが多いのですが、辞書よりも医学生さんが持っているような参考書(別ページで紹介)の方が役に立ったこともありました。ネットより紙の参考書を見た方が早いこともあります。

VOEGELI

いろんな方法で訳語までたどり着いてくださいね!翻訳者に必要な能力の一つはリサーチ力です。パズルを一つ一つ解いていく感覚を覚えることが多々あります。手がかりや訳語にたどりついたときは「ヤッター!」と思いますね。気分はまさに名探偵コナン!

注)これはあくまで個人の感想ですので、いろいろな翻訳者さんの意見も参考にしてください。

治験翻訳にはWEB上の資料を活用した方がよいので、チェックしてみてください。下に記事リンクをはりました。

  • この記事を書いた人

VOEGELI(フォグリ)

2015年からフリーランスのメディカル翻訳者。英検1級。翻訳者個人に直接依頼したい方に向けたお仕事受付けのためのホームページです。臨床論文や治験文書を始め、保険の請求に至るまでさまざまな文書翻訳の経験があります。「翻訳実績」に過去に翻訳した文書をまとめてあります。

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